非上場のA株式会社はB株式会社の依頼を受けてB社保有のA社株式5万8000株を約11億円で平成10年4月に取得した。
A社を代表してこの自己株式取得を行った代表取締役Y1、取締役会で自己株式取得決議に賛成したY2・Y3に対して、A社株主Xより本件自己株式取得は平成13年改正前には認められていなかった保有目的(いわゆる金庫株目的)による自己株式取得であって、平成10年施行の前商法210条に違反しており、A社に取得代金相当額の損害が生じているとして、前商法266条1項5号に基づくYらの責任を追及する株主訴訟が提起された。
判決では本件自己株式取得は消却目的でなされたものとは言えず、違法な自己株式取得であると認定がなされた上で、取締役YらがA社に負う損害賠償額について検討がなされた。 |