Xの主張によれば、証券会社であるY1株式会社、Y2株式会社は、A株式会社の株式の売買取引が繁盛に行われていると見せかけるために昭和47年7月から昭和48年1月にかけて仮装売買等相場を変動させるべき売買取引を行なった。
またYらは株式市場新聞に推奨記事を掲載し、さらに自ら手を加えた虚偽の売買取引情報を掲載して、A社株の売買取引を一般に誘引した。
Xは、Yらの行為により、A社株の売買取引が繁盛であると誤解し、またYらの誘引に応じて、株価操作が行なわれた後にA社株を購入し、その後の暴落時に売却したため、差額183万円余の損害を被った。
そこでXは、Yらの相場操縦行為(証券取引法125条(現159条))により損害を被った、として、証券取引法126条(現行160条)に基づく損害賠償請求を本案として提起した。
本件は以上の本案訴訟において、XがYらの各違反行為を立証するために、Yらの有価証券売買日記帳(現、取引日記帳)と同勘定元帳(現、総勘定元帳)のうち関連記載のある部分について、民事訴訟312条3号(現行220条3号)及び前商法35条に基づく文書提出を求めて、Xが申し立てたものである。
原決定(東京地決昭和53、1、17)ではXの申立が却下されたため、Xは抗告した。 |