宝石、貴金属の販売を業とするX有限会社の代表取締役Aは、Xが宝飾展に商品展示をする予定であったので、バッグ2個及びダンボール箱1個を持参して、宿泊のためY株式会社が経営するホテルに到着した。
バッグ2個には、X所有のペンダント等約2847万円相当の宝飾品が入っていた。
Aは、ホテルのベルボーイであるBに対し、バッグの中身を告げることなく、バッグ2個を客室まで運搬すること及びダンボール箱を宅配便で発送することなどを依頼した。
BがAから預ったダンボール箱の発送手続をしていたところ、バッグ2個が盗まれた。
盗難当時のホテルの宿泊約款には、「宿泊客が当ホテル内にお持込になった物品又は現金並びに貴重品であって、フロントにお預けにならなかったものについて、当ホテルの故意又は過失により滅失、毀損等の損害が生じたときは、当ホテルは、その損害を賠償します。
ただし、宿泊客からあらかじめ種類及び価額の明告のなかったものについては、15万円を限度として当ホテルはその損害を賠償します。」という規定があった(以下、この但書のことを「本件特則」という)。
XがYに盗難による損害の賠償を求めた。
原審判決は、Y及び従業員に、滅失・毀損につき重過失がある場合にも、本件特則が適用されるとし、15万円の限度でXの請求が認められた。
Xは上告した。 |