YとAらは、各種織物の精錬・売買等を営むことを目的とするB株式会社の設立を計画したが、設立登記(昭和30年9月12日)にいたる前の昭和30年1月ころからYはB社代表取締役と称してB社名義で事実上営業をしていた。
Aは、将来成立するB社の宣伝等のためX(大映スターズ)を招聘してB社主催で野球試合を開催する企画をし、これに賛成したYはその実施のためにB社名義によるXとの交渉の一切をAに一任した。
Xは当時すでにB社が存在しYがその代表取締役である信じ、昭和30年3月12日、B社代表取締役Yとの間で野球試合実施に関する契約を締結し、3月21日トンボ・ユニオンズとの野球試合を実施した。
その際、B社主催名義のポスター等の配布・宣伝があり、Yも主催者側を代表して挨拶するなど、Yはこの契約締結に関する事実をすべて了知していた。
ところが、約定の出場報酬金および費用合計18万8200円の支払がなかったので、XはYに対して、民法117条1項の類推を主張して、その支払を求めた。
第1審、第2審ともXが勝訴した。
Yが上告した。 |