昭和57年8月31日、Y株式会社(被申請人)とA株式会社は、Y社を存続会社とする合併契約書に調印し、同年9月1日に当該事実が新聞等により報道された。
なお、Y社及びA社のいずれも工業計器分野の大手企業である。
A社の株主X(申請人)は、同年11月5日及び11月9日の両日、A社に対し株主名簿の名義書換を請求した。
さらにXは、同年12月20日の臨時株主総会に先立ち書面で合併反対の意思を通知し、A社の合併契約書の承認決議に反対した。
その後Xは、A社に対し株式買取請求をしたものの買取価額につき協議が調わなかったため、買取価格の決定を求めて本件訴えを提起した。
なお、Xが名義書換請求をした同年11月5日及び同年11月9日におけるA会社の株価(終値)は、それぞれ245円及び232円、合併決議のなされた同年12月20日のそれは230円であった。
なお、被申請人がY社であるのは、合併によりY社がA社を承継したためである。 |