Xは、Y株式会社の発行済株式総数の10分の1以上の株式を有する株主である。
Xは、Y社に対し、昭和63年7月12日から同年8月12日にかけて4度にわたり、それぞれの理由を付した書面をもって、以下の文書の閲覧請求を行なった。
その文書とは、昭和58年8月21日から平成2年8月20日までにわたる6期の、@決算報告書、A法人税確定申告書及び明細表とその作成資料のすべて、B総勘定元帳、C契約書綴り、D当座預金照会表、E手形帳・小切手帳の控え及びこれらの元帳、F会計用伝票全部、G普通預金通帳のすべて、H現金出納帳、I売掛金に関する領収書・請求書全部、Kその他以上に関連する一切の資料である。
これに対してY社は、代表者が終日不在であること、及びXの各閲覧請求が前商法293条の7第1号に該当することを理由に、当該閲覧請求を拒絶した。
そこでXは、次の事実を調査するため、以上列挙した文書の閲覧謄写請求を行なった。
すなわち、決算期直前における多数の振替伝票による支出金項目変更の経理操作の疑い、受取手形・売掛金等の回収不能債権を資産として計上している疑い、未払工事代金が未払金に計上されなくなる等の会計処理上の疑問、Y社が使用する自動車リース代金の適正さに対する疑問、Y社の前代表者Aの個人諸費用等を会社の経理から支出している疑い、そしてY社が多額の損失を出している株取引の適切さ、妥当さに対する疑問等である。 |