「商法204条1項但書は、株式の譲渡につき、定款をもって取締役会の承認を要する旨定めることを妨げないと規定し、株式の譲渡性の制限を許しているが、その立法趣旨は、もっぱら会社にとって好ましくない者が株主となることを防止することにあると解される。
そして、右のような譲渡制限の趣旨と、一方株式の譲渡が本来自由であるべきことに鑑みると、定款に前述のような定めがある場合に取締役会の承認を得ずになされた株式の譲渡は、会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡当事者間においては有効であると解するのが相当である。」
「ところで、株式を譲渡担保に供することは、商法204条1項にいう株式の譲渡にあたると解すべきであるから、叙上の場合と同様、株式の譲渡につき定款による制限のある場合に、株式が譲渡担保に供されることにつき取締役会の承認を得ていなくても、当事者間では、有効なものとして、株式の権利移転の効力を生ずるものというべきである。」 |