XはY株式会社の株主であるが、その持株の一部をAらに譲渡した。
AらはY社に対し、譲り受けた株券を提出した上で株主名簿の名義書換を請求したが、Y社は、昭和41年商法改正前に要求されていた裏書の方式を欠いていることを理由に名義書換に応じなかった。
他方Y社は、Aらの請求の後、3度にわたり定時株主総会及び臨時株主総会を開催したが、その招集通知はいずれもAらに対してはなされていない。
そこでXは、Y社の名義書換拒絶が不当なものであり株式譲渡の効力を否定できないことから総会の招集通知はAらに対してもなされるべきであるにもかかわらず、それがなされていないため、その招集手続に違法がありその決議は取消されるべきであるとして、Y社に対して決議取消を求める本年訴訟を提起し、第1審はXの請求を認容した。
この名義書換請求訴訟は別訴で争われていたが、Y社の名義書換拒絶に正当な理由があるとの最高裁の確定判決が、本件が控訴審で争われている段階で下された。
そこで、原審でY社は、別訴の既判力がXにも及ぶべきことを主張したものの、原審はこれを退け、本件事実関係のもとでAらに招集通知を発送しなかったことが違法であることを判示するとともに、Y社による「XがAに譲渡した株式に相当する議決権を行使していることから総会の瑕疵を主張できない」
「仮にAらが本件各総会で議決権を行使したとしても決議の結果には何ら影響がないから請求は棄却されるべき」との主張も退け、控訴棄却。
これに対しY社は上告した。 |