Aは原動機付自転車を運転中にB運転の大型トラックとの接触事故により死亡した。
BはY1有限会社の被用者であり、Y1が購入した本件トラックをY1の営業のために運転中に上記事故を起した。
Y1は、y2保険会社と本件トラックにつき自己を被保険者とする自家用自動車保険契約締結していた。
Y1は無資力であった。
本件保険約款(昭和51年に改訂されたもの)第4章17条は、被保険者の保険金請求権は損害賠償責任額について被保険者と損害賠償請求権者との間で判決が確定した時、または裁判上の和解、調停もしくは書面による合意が成立した時に発生し、これを行使することができると規定している。
Aの父母であるX1、X2がY1に対し損害賠償を請求し、Y2に対し保険金支払を請求して保険訴えを提起した。
Y2に対しては、X1らは保険金の直接請求権を有する、直接請求権が認められないとしてもX1らは、民法423条により、Y1に対する損害賠償債権を代位債権として、Y1が有する保険金請求権を代位行使するとの主張がなされた。
原審判決では、Y1の損害賠償義務が認められ、Y2については、保険金の直接請求権は否定されたが、保険金請求権の代位行使は、次のようにして認められた。
被害者が同一訴訟手続で加害者に対して損害賠償を請求するとともに、保険会社に対し加害者の保険金請求権を代位行使して保険金の支払を併せ請求し、併合審判のなされる場合には、裁判所は、被害者の会社に対する損害賠償請求を認容するとともに、保険金請求を将来の給付の請求としてその必要がある限り認容することができるものと解するべきである。
Y1のY2に対する保険金請求権は、本件保険約款第4章17条からX1らのY1に対する判決確定と同時にその履行期が到来するものと解されること、Y1らがX1らに対する損害賠償義務、保険金支払義務を争っていること、X1らの速やかな救済が必要とされることを考えれば、本件は予めその請求をなす必要がある場合にあたる。
Y2は上告した。 |