X株式会社は、振出人Y株式会社、受取人A株式会社で、Xまで裏書の形式的連続(第一裏書人A、第二裏書人B、第三裏書人C)のある約束手形の所持人である。
Xは本件手形を平成9年4月21日にCより割引き取得した。
本件手形はAがYより振出交付を受け、裏書をしないまま保管していたところ何者かによって盗取されたものであり、Aは平成10年1月27日に本件手形につき除権判決を得ている。
Xは支払呈示期間内に本件手形を支払場所に呈示したが、支払が拒絶されたため、Yに対して手形金の支払を求めて提訴。
Yは抗弁として、Xは本件手形を善意取得しておらず無権利者である、仮に善意取得していても除権判決によりXは手形上の権利を喪失したと主張した。
第1審・第2審ともYの抗弁を排斥し、Xの請求を認容した。
Yが、「除権判決前に善意取得した者も権利の届出をしなかった限り、除権判決がなされることによってその権利を喪失するものと解すべき」として上告。 |