A株式会社は「淡路五色リゾートカントリー倶楽部」(A社の商号とは異なる)という名称の預託金会員制ゴルフクラブが設けられているゴルフ場を経営していた。
Y株式会社はA社から本件ゴルフ場の経営を行なっていた。
Xは平成元年8月、A社に1300万円を預託してゴルフクラブの正会員の資格を取得した。
平成12年6月A社に対し預託金返還請求の別訴を提起し、同年8月に認容された別訴判決による民事執行は不能であった。
そこでXは、Y社が本件ゴルフクラブの名称を継続して使用していることから、前商法26条1項の類推により本件預託金の返還義務を負うべきであると主張して、Yに対し預託金の返還を求める本件訴訟を提起した。
第1審(神戸地判平成13年7月18日)はXの請求を認容したが、控訴審(大阪高判平成13年12月7日)は次のように述べてXの請求を棄却した。
すなわち、預託金の返還はゴルフクラブからの退会に伴う清算手続きの一環であるが、会員の信頼の拠り所となるのは商号によって表象される経営主体であって、当該クラブの名称によって表象されるブランドではないとして、ゴルフクラブの名称の続用をもって前商法26条を類推の基礎とすることはできないとした。
Xは上告した。 |