株主提案権

自分でできる会社設立

株主提案権

自分でできる会社設立!会社に関わる裁判の判例>株主提案権
スポンサードリンク
 

株主提案権

札幌高判平成9年1月28日(株主総会決議取消請求控訴事件)
資料版商事法務155号107頁

<事実の概要>

商法特例法上の大会社であるY株式会社が招集した平成7年の株主総会に先立ち、Xらは株主提案権を行使して、Y社の収益見通しが不明確であり株主にとって不利益な投資が考えられるため、内部留保を減らして配当を増やすべく、1株当りの配当を7、5円とするべき旨の議案を総会の目的となすことを請求した。

提案理由は本文と別表からなるが、双方の字数を合わせると、参考書類規則4条1項1号(前商法施行規則17条1項1号)に定められた400字以内という字数制限を超過していた

そこでY社は、別表部分を除いてその余の提案理由部分をほぼそのまま招集通知添付の参考書類に記載した。

これに対しXは、@400字以内という字数制限は「参考書類」の範囲内の限定的部分であり、別表部分は「招集通知」の範囲内にある説明部分であるから字数制限を受けないにもかかわらず、別表部分を削除したことが前商法230条の2に違反すること、AY社が、取締役会決議に基づいて提案された議案を「会社提案」と記載したことは、単なる取締役会の提案にすぎないものを会社全体の総意として提案された善の提案であり、これと区別して記載された株主提案は悪の提案であるかのような印象を与えてこれを不利に扱いその賛否に影響を与えるものであるから著しく不公正な記載というべきこと、BY社が、賛否の記載のない議決権行使書面について、取締役会提案の議案については賛成、X提案の議案については反対として取り扱ったことは全議案を平等に取り扱うべき参考書類規則7条(前商法施行規則25条)に反しており違法であること、などと主張して、招集手続及び決議の方法に瑕疵があることを理由に総会決議取消の訴えを提起した。

第1審は請求棄却。

Xは控訴した。



<判決理由>控訴棄却。

@について「Y社は、本件総会の招集通知本文にXらの提案の議題を記載したが、その提案理由は字数が400字を超えていたので本来招集通知添付の参考書類に記載する義務はなかったものの、別表部分を除いてその余の提案理由の部分を本件請求書面の記載に沿ってほぼそのまま記載したものであるところ、右方法による要約により提案理由の趣旨が損なわれたということはできず、Y社が招集通知の参考書類として右別表部分を記載しなかったことをもって招集手続に瑕疵があり違法であるということはできない。」

「Xの当審における主張の趣旨は必ずしも明確ではないが、前記別表は株主提案議題の包括的説明部分であるから参考書類に記載されるべきものではなく、招集通知そのものに記載されるべき性質のものであり、議案の要領を招集通知に記載することは法的に強制されているから、字数の制限は受けないとの主張と解することができるとしても、右別表は、1株当り配当金を7、5円とする旨のXその他の株主の提案の理由をXら株主が説明する中で、その主張を根拠に付ける事実を表す形式で記載して引用するために添付された書面であって、提案理由の一部をなす資料と認められるものであること、XはY社に対する株主提案を請求した書面において議案の要領を議案の内容と提案理由に分けて記載し、別表はこれを提案理由の一部として記載していることを考慮すると、右別表は参考書類規則4条1項1号(前商法施行規則17条1号1項)所定の字数の制限を受ける提案理由に該当するというべきである。」

Aについて「取締役会で株主総会の議案として提案することを決定されたものを会社提案と表現することは、会社提案という記載を取締役の提案の趣旨で用いる用語例が一般に行われており、本件総会において議長は会社提案の意味について取締役会の議決を得て提案した旨答弁していることを合わせ考えると、右の記載が株主に対して誤った情報を与えるとか右用語自体により株主提案の賛否に影響を与えるとは考えられないから、株主総会における決議の取消事由になるような瑕疵ということはできない。」

Bについて「参考書類規則7条(前商法施行規則25条)によれば、議決権行使書面には、賛否の記載のない場合、各議案について、賛成、反対、棄権のいずれかの意思表示があったものとして取り扱う旨記載することができることとされており、全議案について同一の取り扱いをすべきことまでは要求されているわけではないから、本件において議案ごとに異なる取り扱いをしたからといって違法ということはできない。」

会社設立を難しいと思っていませんか?
ご自分で会社を設立するならまずはクリック!!
カテゴリ
会社の能力と目的の範囲
会社の政治献金
法人格の否認
商業登記の対抗力
商業登記の積極的公示力と民法112条との関係
不正の目的による商号の使用
類似商号の使用と不正競争防止法による使用差止請求
被許諾名称の事業外使用と名称使用許諾者の責任
スーパー・テナント関係に対する名板貸責任の類推適用
事業譲渡と労働契約関係
事業譲渡と商号の続用
ゴルフクラブの名称を継続使用したゴルフ場の事業譲受人と預託金返還義務
挨拶状と債務引受の広告
表見支配人の権限の範囲
ある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人の代理権の範囲
発起人組合
発起人の開業準備行為
財産引受の無効の主張と信義則
他人名義による株式の引受
株式の相続と訴訟の承継
株式の共有 共有者による議決権行使の効力
共有株式の権利行使者の指定方法
相続による株式の共有 総会決議不存在確認訴訟の原告適格
授権株式数増加の条件付決議
利益配当と株主平等の原則
議決権行使阻止工作と利益供与
会社の過失による名義書換の未了と株式譲渡人の地位
名義書換失念と新株引受権の帰属
株券発行前の株式の譲渡
一人株主の承認による譲渡制限株式譲渡の効力
譲渡制限に違反した株式譲渡の効力
譲渡制限株式の評価
競売による譲渡制限株式の取得 会社に対して株主としての地位を有する者
従業員持株制度と退職従業員の株式譲渡義務
略式質の効力
100%子会社による親会社株式の取得と親会社取締役の責任
違法な自己株式取得による取締役の対会社責任と損害額の算定
第三者に対する新株の有利発行と株主総会決議の瑕疵
新株発行事項の公示の欠缺(けんけつ)
買取引受けと不公正発行価額
第三者割当増資による企業買収
第三者割当増資と新株発行の差止
防衛目的の第三者割当増資と発行価額の有利性
特別決議を経ない新株の有利発行と会社の損害
発行差止仮処分違反の新株発行の効力
新株の著しい不公正発行
新株発行不存在確認の訴えの出訴期間
名義書換未了株主と異議催告手続
株券提出期間経過後の名義書換請求
防衛目的による新株予約権の第三者割当を差し止めることの可否
将来の敵対的買収に備えた新株予約権発行の差止の可否
累積投票と招集通知の記載
代理出席を含む全員出席総会の決議の効力
総会開催禁止の仮処分違反の効果
株主提案権
議決権行使の代理人資格の制限
代理人による議決権行使の拒絶
取締役の説明義務と一括回答
取締役の説明義務の範囲と程度
従業員株主を前列に座らせてなした総会決議
総会決議の方法(挙手による採決)
他の株主に対する招集手続の瑕疵と決議取り消しの訴え
特別利害関係人の議決権行使による決議の取消
決議取消の訴えと取消事由の追加
役員選任決議取消の訴え 役員が退任した場合と訴えの利益
計算書類承認決議取消しの訴え
決議取消の訴えと裁量棄却
株主総会決議不存在確認の訴えと訴権の濫用
取締役選任決議の不存在とその後の取締役選任決議の効力
決議無効確認の訴えと決議取消しの主張
株主総会不存在確認の訴えの利益
取締役の解任
代表取締役職務代行者による臨時総会の招集と会社の常務
代表取締役の代表権に対する制限
表見代表取締役
表見代表取締役と第三者の過失
取締役の競業避止義務
取締役の利益相反取引と株主全員の合意
利益相反取引 手形行為
利益相反取引 間接取引
利益相反取引 第三者を介しての関連会社への融資及びその後の債権放棄
取締役の違法行為の差止請求権
取締役の報酬 定款又は総会決議なき場合
役員の報酬・退職慰労金
取締役の報酬の変更
取締役会決議が必要な重要な財産の処分
招集手続の瑕疵と取締役会決議の効力
議決権拘束契約の効力 取締役会決議
取締役解任の取締役会決議と特別利害関係
取締役の注意義務と経営判断原則
法令違反の業務執行行為と取締役の責任
大和銀行株主代表訴訟事件
取締役の注意義務違反行為と株主が直接取締役に対して損害賠償をすることの可否
子会社管理に関する取締役の責任
取締役の会社に対する責任と寄与度に基づく賠償額の算定
退任取締役による従業員の引き抜きと忠実義務
株主代表訴訟と取締役の責任の範囲
株主代表訴訟における会社の被告側への補助参加
株主代表訴訟と担保提供
取締役の第三者に対する責任の法的性質
取締役の監視義務と第三者に対する責任
選任決議を欠く登記簿上の取締役と第三者に対する責任
辞任登記未了の辞任取締役と第三者に対する責任
計算書類の虚偽記載と取締役の第三者に対する責任
公正な会計慣行と取締役等の責任
帳簿閲覧権の要件
帳簿閲覧請求の対象となる会計帳簿・書類の意義
会計帳簿等の提出命令の対象
社債と相殺
重要財産の譲渡と特別決議
解散判決における業務執行上の著しい難局
合併発表後に取得した株式の買取価格
合併比率の不当と会社の損害
合併比率の不公正と合併無効事由
会社分割と債務履行の見込み
企業買収の基本合意書における協議禁止条項の効力
企業買収と保証条項
預合の意義
見せ金と公正証書原本不実記載罪
債権者による退社予告
多数派社員による不公正な業務執行と解散請求
合資会社の社員の出資義務と持分払戻請求権
商人資格の取得時期
商法504条の法理
共同企業体の構成員会社の債務の連帯
建築請負契約に基づく敷地に対する商事留置権の成否
債務者の破産宣告と商事留置権の効力
利息制限法違反による不当利得返還請求権と消滅時効
不特定物売買と商法526条の適用
瑕疵の通知義務を履行した買主の権利の内容と消長
特約店契約の解除
売上予測等の提供に関するフランチャイザーの責任
C&F契約と船積期間経過後の船荷証券の提供
ファイナンス・リース契約の解除とリース業者の清算義務
ファイナンス・リース契約と会社更生手続
割賦販売法30条の4の法的性質
クレジットの名義貸し
匿名組合を利用したレバレッジド・リース
仲介業者の排除と業者の報酬請求権
宅地建物取引業者の報酬請求権
問屋の破産と委託者の取戻権
商法580条1項の趣旨
商法566条3項及び588条2項にいう悪意の意義
運送人の責任と請求権競合
荷渡指図書に基づく寄託台帳の書換え
倉荷証券上の免責約款
宿泊客の手荷物の紛失とホテルの責任制限約款の効力
航空機事故による旅客の死亡と航空運送人の責任
主催旅行契約と旅行業者の責任
地震保険に関する保険者の情報提供義務
譲渡担保と被保険利益
目的物の譲渡に関する通知義務
保険料不払いを理由とする保険契約の解除
放火が疑われる場合の火災保険金請求訴訟における主張立証責任
事故発生通知義務と約款規定
所得補償保険と請求権代位
被保険者の運送人に対する損害賠償請求権の放棄
被害者の保険金代位請求訴訟
保険金受取人が保険事故発生前に死亡した場合
保険金受取人の指定変更の方法
告知義務違反による解除事例
約款上定められた1年を超えてからの被保険者の自殺
法人の役員による被保険者故殺
保険者の特別解約権
死亡保険金請求権の消滅時効の起算点
無権代理人による保険契約者貸付と民法478条
解約返戻金請求権の差押と差押債権者による解約権行使
傷害保険における偶発(然)性の立証責任
他保険契約の告知義務・通知義務
搭乗者傷害保険金と損益相殺
船舶先取特権を生ずる債権
船主責任制限の対象となる債権の範囲
定期傭船者と衝突責任
定期傭船契約と運送契約の責任主体
国際海上物品運送法の適用範囲
外観上良好に船積された旨の船荷証券の記載
無故障船荷証券発行に伴う補償状
保証渡し
双方過失による船舶の衝突
目論見書の交付義務違反に基づく証券会社の損害賠償責任
インサイダー取引 新薬の副作用と重要事実該当性
インサイダー取引 重要事実としての会社の決定
損失保証契約の効力
説明義務 ワラント訴訟
相場操縦
信用取引における証券会社の手仕舞義務
無断売買の効力
他人の氏名による署名
法人の署名
組合の手形署名
手形所持人に有利な解釈
手形金額に錯誤がある裏書
詐欺による手形行為「見せ手形」の抗弁
署名後意思によらずに流通した手形と署名者の責任
手形行為の表見代理における第三者
手形偽造と民法110条の類推適用
手形の偽造と手形法8条の類推適用
銀行による偽造手形の支払
手形の偽造と民法715条の使用者責任
無権代理人による裏書と善意取得
融通手形の抗弁と第三者
戻裏書と人的抗弁
手形金の請求と権利の濫用
手形金額「壱百円」と「¥1,000,000」の重複記載
白地手形成立の要件
未補充手形の取得者と手形法10条
手形の裏書と民事保証債務の移転
裏書の連続
裏書の連続のある手形による請求と権利推定の主張
被裏書人の氏名だけの末梢
手形保証と権利濫用の抗弁
支払呈示期間経過後の支払呈示の場所
手形法40条3項にいう重大な過失
支払延期のためになされた手形書替え
支払猶予の特約と消滅時効の起算点
手形を所持しない者の裁判上の請求と時効中断
手形金請求訴訟の提起と原因債権の消滅時効の中断
手形の除権判決と除権判決前の善意取得者の権利
利得償還請求権の発生と原因債権との関係
手形債権と原因関係上の債権との行使の順位
賭博による債務支払のための小切手の交付
手形割引の法的性質
割引手形と買戻請求権
支払人として記載された者以外の者のなした為替手形の引受け
外国向為替手形の取立て・再買取の拒絶と買取銀行の権利義務
盗難預金小切手の支払
被仕向銀行の行為による損害と仕向銀行の振込依頼人に対する責任
誤振込みによる受取人の預金の成否
振込が遅延した場合の損害賠償の範囲
Copyright(C)自分でできる会社設立!All Rights Reserved