商法特例法上の大会社であるY株式会社が招集した平成7年の株主総会に先立ち、Xらは株主提案権を行使して、Y社の収益見通しが不明確であり株主にとって不利益な投資が考えられるため、内部留保を減らして配当を増やすべく、1株当りの配当を7、5円とするべき旨の議案を総会の目的となすことを請求した。
提案理由は本文と別表からなるが、双方の字数を合わせると、参考書類規則4条1項1号(前商法施行規則17条1項1号)に定められた400字以内という字数制限を超過していた。
そこでY社は、別表部分を除いてその余の提案理由部分をほぼそのまま招集通知添付の参考書類に記載した。
これに対しXは、@400字以内という字数制限は「参考書類」の範囲内の限定的部分であり、別表部分は「招集通知」の範囲内にある説明部分であるから字数制限を受けないにもかかわらず、別表部分を削除したことが前商法230条の2に違反すること、AY社が、取締役会決議に基づいて提案された議案を「会社提案」と記載したことは、単なる取締役会の提案にすぎないものを会社全体の総意として提案された善の提案であり、これと区別して記載された株主提案は悪の提案であるかのような印象を与えてこれを不利に扱いその賛否に影響を与えるものであるから著しく不公正な記載というべきこと、BY社が、賛否の記載のない議決権行使書面について、取締役会提案の議案については賛成、X提案の議案については反対として取り扱ったことは全議案を平等に取り扱うべき参考書類規則7条(前商法施行規則25条)に反しており違法であること、などと主張して、招集手続及び決議の方法に瑕疵があることを理由に総会決議取消の訴えを提起した。
第1審は請求棄却。
Xは控訴した。 |