A株式会社はXに対する店舗兼共同住宅の設計料の内金支払のために約束手形3通を振り出した。
各手形はAの代表取締役であるYが受取人兼第一裏書人となっており、Xまでの裏書の連続があった。
そのうち1通の満期は昭和47年8月31日、残り2通の満期は同年12月15日であったが、各満期から4ヶ月の支払猶予を懇請し、Xはこれを承諾した。
昭和48年5月15日にXは支払場所で支払のために各手形を呈示したが、支払がなかったため、同年10月31日にA及びYに対して手形金の支払を求めて提訴。
第1審で裏書人であるYに対する請求が棄却されたため、Xが控訴し、控訴審ではXの請求が認容された。
控訴審においてYは、満期が昭和47年8月31日の手形については遡及権の消滅時効が完成しているとして争ったが、控訴審判決は、支払が猶予された場合、当事者間では猶予期間中消滅時効は進行せず、猶予期間満了の翌日から進行をはじめるとしてYの主張を退けた。
Yは上告した。 |