米穀その他の食料品及び薪炭類の販売を目的としていたA有限会社(有限会社米安商店)は、昭和31年の9月から10月にかけて、約束手形を5通合計75万円を、Bに振り出した。
BはこれをXに裏書譲渡し、Xはこれらの手形を支払期日に支払場所に呈示したが、支払を拒絶された。
A社は、支払期日に先立つ昭和31年11月26日に解散し、その営業はY合資会社(合資会社新米安商店)に譲渡されていた。
Y社はA社に従業員・器具・社屋を引き続き使用し、A社と同様の主要食料及び薪炭類の小売販売業を営んでおり、またさらに主要食料販売に関して、その登録官庁に対し、従前のA社の主要食料販売に関する一切の債権債務をY社が承継した旨の届書を提出していた。
そこで、XがY社に対して、手形金を請求したのが本件である。
Xは第1審ではY社が「合資会社新米安商店」の商号を使用しているのは、A社の「有限会社米安商店」の商号を続用するものであるから、前商法26条1項に定める責任を負うことも合わせて主張した。
第1審、控訴審ともXの請求は認容された。
特に控訴審では営業譲渡の事実を認定した上で、「有限会社米安商店」と「合資会社新米安商店」とでは会社の種類を異にし、かつ「新」という継承的字句がくわえられたのみで、商号の主体部分とみられる「米安商店」には変動がないのであるから、前商法26条の関係では商号の続用と認められる、とした。
Y社は上告した。 |