Xは、Y株式会社の株主であり取締役である。
Aは平成10年12月12日、臨時株主総会招集請求書により、Xらを取締役から解任しBらを選任することを会議の目的とする臨時株主総会を招集するよう、Y社に求めた。
AはY社が同日から6週間以内の日を会日とする株主総会招集通知を発せず、公告もしていないことを理由に裁判所に臨時株主総会の招集を申請し、平成11年3月11日に、4月30日までに株主総会を招集することを許可する決定を受けた。
そこでAは同年3月23日付招集通知及び同月25日付の全国紙に掲載した案内によりY社株主に対し、同年4月9日に臨時株主総会を開催する旨の通知をを行ったが、株主名簿の閉鎖ないし基準日設定の手続がとられていなかったため、多くの株主に招集通知が発送されなかった。
そこでXらは、この臨時株主総会につき、同月29日に裁判所に開催禁止の仮処分命令を申立て、4月2日に禁止の仮処分決定(第1回仮処分決定)が下された。
第1回仮処分決定の後、Aは、期日を変更する旨の同月7日付の葉書及び同月13日付の全国紙に掲載した案内により、同月30日に本件臨時株主総会を開催することを通知したが、この葉書には招集通知に添付されるべき参考書類が添付されていなかったことに加え、株主名簿の閉鎖ないし基準日設定の手続がとられていなかったため、多くの株主に対して、招集通知がなされていない。
そこでXらは同月9日、本件臨時株主総会につき裁判所に開催禁止の仮処分命令を申立て、同月19日に本件臨時株主総会の開催を禁止する決定がなされた(第2回仮処分決定)。
ところが、Aは、4月30日に開催場所を変更した上で、本件臨時株主総会が開催され、Xらが取締役から解任された上で、Bらが取締役に選任されたことを伝えた。
そして、同日に開催された本件取締役会において、Aが代表取締役に選任されたと主張している。
以上の事実関係のもとでXは、@平成11年4月に開催された株主総会におけるXらの取締役解任及びBらの選任決議について、主位的にはその不存在を、予備的にはその無効確認ないし取り消しを求めるとともに、A同日に開催された取締役会における代表取締役Aの選任決議の無効確認を求め提訴した。 |