リース会社であるX株式会社は、昭和48年5月9日、Y株式会社との間で、機械(以下、「本件物件」)につき、リース期間を60ヶ月とするファイナンス・リース契約を締結した。
リース契約においては、Yがリース料の支払を1回でも遅滞したときは、Xは通知催告を要しないでリース料全部の即時弁済を請求できる旨の特約が含まれていた。
Xは、昭和48年11月20日、Yに本件物件を引渡し、以後そのリース期間が開始し、本件物件を使用収益させていたところ、Yは、昭和51年5月10日以降リース料の支払を怠った。
Xは、本訴において残リース料を請求している。
なお、Xは昭和52年11月7日、Yのもとから本件物件を引揚げている。
原審判決(名古屋高判昭和55・7・17判時990号201頁)は、Xの残リース料の請求は認められるが、Xには物件の引揚げによって取得した利益を未払いのリース料に充当し残余があればこれをYに返戻する義務があり、この清算の対象となるのは、返還時から本来のリース期間が満了すべきものと約定されていた時点までの期間内におけるリース物件の利用価値であると解し、かつ、これを具体的に算定するにあたっては、リース物件がリース期間の途中で滅失した場合にYからXに支払うことが約定されている規定損失金額を基礎とし、返還時から本来のリース期間の満了時までの間における規定損失金額の年度間の差額をもって清算金額にあたるとした。
Xは上告した。 |