Y株式会社は、Aによって設立された倉庫業等を営む同族会社である。
Aは、Y社の経営を同族で固めていたが、娘婿のXに経営参加を要請し、Xは昭和45年12月から昭和60年6月14日に任期満了により退任するまでY社の取締役であった。
Y社の定款には、取締役の報酬は株主総会決議をもって定める旨の規定があり、株主総会議事録上は役員報酬の年額の定めが、取締役会議事録上も各取締役の報酬額について決議がなされた旨が記載されていた。
これらの決議の記載に従って各役員に報酬が支払われていたが、実情は代表者の一存で報酬額が定められており、Xの昭和58年度の報酬額は月額50万円だった。
Aの死後、Aの後継者であるBとXとの対立が深刻化し、昭和58年10月の取締役会でXは常勤取締役から非常勤に変更された。
BがXの出社に抵抗したこともあってXはY社に出社して業務を行うことを中止したが、昭和59年1月13日取締役会でXへ取締役報酬支払の打切りが決議され、昭和59年7月13日の株主総会では、Xの同意を得ることなく、B他1名を除くXらの取締役を無報酬とすることが決議された。
Xが取締役報酬又は従業員賃金として昭和59年1月1日以降の毎月額50万円分の支払を求めて提訴。
原審判決は、いったん定められた取締役報酬を一方的に減額・不支給とすることができるとし、昭和59年7月13日までの間の取締役報酬請求権を認めた。
Xは上告した。 |